Rocker and Hooker

2012年も年の暮れを迎えるにあたって、色んなことを考える。自分が10代始めの時には考えても見なかったことを。

だから今月はちょっといつもと趣を変えて。
サラリとこの項を収めたいと思います。何だか物思う事が多くってさ。

60歳を過ぎた、またはそこに至ろうとしているヤツらが10代の音楽ラヴァー達の腰を揺らして、声を振り絞らせて呈するサウンドにその人生を同調させる、通過儀礼を越えた現象が起こりえるなんて。
そして、もう一つ。今年立て続けに飛び込んで来た、自分の多感な時期に影響を与えてくれていた、〈ROCK〉を十字架のように背負い続けていたアーティスト達の訃報。もうここ最近、驚くばかり。

以下、思いを辿るのは、あくまでも自分ロック史的な範疇での追悼なので、予めご了承を。国内外含めて、全てのロッカーに哀悼の意を表したい気持ちではあることをご理解下さい。
1月のエッタ・ジェームス(Eta James)から始まって、2月にはモンキーズのデイヴィー・ジョーンズ(Davie Johns/ex.The Monkeys)、それに偉大なディーヴァ=ホイットニー・ヒューストン(Whittoney Houston)、3月にはロニー・モントローズ(Ronnie Montoroes)、ドック・ワトソン(Doc Watoson)、4月にはザ・バンド(The Band)のドラマー=レヴォン・ヘルム(Revon Helm)、そしてミュージシャンではないけれどロック・サウンドにおいてその影響力は無限大であったギター・アンプ=マーシャル(Mershall)の生みの親=ジム・マーシャル(Jim Mershall)、5月にはビー・ジーズのロビン・ギブ (Robin Gibb/The Bee Gees)、ドナ・サマー(Dona Summer)、チャック・ブラウン(Chack Brown)、そしてドナルド・ダック・ダン(Donald Duck Dan) 、6月にはシティ・ポップのはしりでありブルース・ロックの革命児達=フリートウッド・マック(Fleetwood Mac)のボブ・ウェルチ(Bob Welch)、7月のディープ・パープル(DeepPurple)の重鎮ジョン・ロード(John Load)、8月のアンディ・ウイリアムス(Andy Wiliams)。そう、ここ日本でも、ジャパニーズ・ロック・シーンの黎明期〜全盛期を支えたジョニー吉長さん、桑名正博さんが逝ってしまった。
なんじゃこりゃ!?ってくらいのラインナップだ。何故ここで「なんじゃこりゃ!?」って思うのかというと、これらの訃報に際して、社会的に適切に受け止めてしまう要素が高かったから。すなわち、年齢によるものがその逝去の理由として強かった方々が多いってこと。そうか、市民権を得てからの〈ロック〉ってもう、う〜〜ん、すなわち高齢なんだな。。。。



大好きなTV番組『アメリカン・アイドル(American Idol)』も審査員を一新した。ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)の降板は個人的な問題も大きかろうが、エアロスミス(Aerosmith)のスティーヴン・タイラー(Steven Tyler)の降板は、バンドの新作リリースと世界ツアーとの絡みってのもあるとは思うが、何とも言えないショックがあった。すなわち、「ロックはもうビジネスにならない」という宣告書のような。実際、番組の次の新たな豪華審査員陣に名を連ねたのはR&Bシーンのトップであるマライア・キャリー(Mariah Carey)と、クラブ・シーンまでその名を馳せるR&B寄りの若手スーパー・スターのニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、そしてさらにはニコール・キッドマン(Nicole Kidman)との結婚でも話題になったカントリー・ミュージック界のスーパー・スター=キース・アーバン(Keith Urban)である。ロック因子ゼロ。
う〜〜む。。。。
〈ロック〉が金にならないってのはある意味でイエスなのだ。しかし、そうした傾向が本来音楽ファンになる可能性のあったコ達の間違った〈ハルメンの笛吹き〉になっちゃったらイヤだなって。

ロックって何だろうね。これっていよいよ本気で考えなくちゃいけない定義かも。実際、前記のような真剣な話しじゃ無い部分でも、所謂ロック・ファンって言われている方々の中でもこれは定義として不安定だ。そこに金儲けの話が絡むからさ、いよいよ不鮮明になってしまうのだね、このシーンが。
実際、自分でも一番心配してるのが、ロック・シーンにおける新人が少ない事。カッコ良いバンド、最近出てこないなぁって。
もう、いよいよ本格的に〈ロック〉って過去の遺物なのかねぇ??
一方でさ、ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)やレッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)の音楽ムーヴィーや新作の話で盛り上がってるのに。あれ?それってすなわちロックってもうそういう世代的なウチワ受けのカルチャーなのかな?次の世代に伝わって行かないっていう。それも寂しいなぁ。

最近、本当に考えるんだ。いわゆる「村化」って概念。うん、そう自分達が幸せであるために何が必要か、何が重要か、もうそれだけ考えて行けばいいんじゃないの?って。だって、もうそういう形でしかロック愛好の想いは守られないじゃない??どうも今月はそんな悲観的な話に終始してしまっているけれど、それで「村民」が幸せでいられるなら、「村化」は有りだろうなって、本気で思ってる。もうイヤなんだ、解ってくれない人達へ向けた説得の徒労が。

中野よ、この冬もステキな作品を届けてくれたね。しかもあなたのスタイルの範疇において。これって凄い事だ。ブレない、でも新しい。
R&H店長、そしてデザイナーでもある中野にとって、シーンとは何なんだろう?彼はそれを唾棄する事も出来るし、それに対して迎合する事も出来る。〈シーン〉とは在り様であって、実在するものではない。だからそれに相対する人間、アーティスト、表現者にとって、その意味も変わってくる。
中野の意思表示、スタイルの提言の在り方に時々イライラさせられることもある。しかして、そんなことを考えるとそのイライラこそが間違い?もう、俺も解らん!でも、今月届けられたニットの新作、う〜〜ん、良いなぁ。中野よ、悔しいけれど君のマイ・ペースの在り方も一つの正義なのかもね。

ロックン・ロール、それって態度であり、生き様でもあり。
もちろん音楽のジャンルでもある。
ロックン・ロールって概念から最も遠いところで作品を創って届けている中野の生き様が最もロックなのかなって思っちゃった冬のある日。。。。


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