機械式時計の世界最高峰と言えばやはりパテック・フィリップだと思う。
創業は1839年。その歩みはまさに時計技術の発明と革新の歴史である。輝く程美しいケースは手作業で磨き上げられ、パーツはすべてに至るまで手作り。
ゆえに年間生産量も極めて少なく約3万個と言われている。(ちなみにロレックスの年間生産量は70万個と言われている。)
その製作技術もさることながら、パテックはこれまで生産したすべての時計の膨大なパーツを現在でもほとんどストックしている。
そして必要とあれば新たに部品を製作する姿勢も貫いている。
150年前に製作されたパテックですら完璧に修理を請け負う。
それが永久保証と言われる所以である。
そしてもうひとつパテックが最高峰とされる指標に時計愛好家がつけるそのオークション・プライスがある。
時計オークション2004年9月の段階で、落札価格の世界史上20位までのうち15個がパテックである。だからパテックを投資目的として購入する人もいるようだ。
ディーラーは言う
「マンションや車は購入した翌日からその価格は下がり始める。だがパテックは逆である。その価格は年を追うごとに上がり始めるからだ」
そしてもうひとつこういう名言もある
「世界に時計は2つしかない。ひとつはパテック・フィリップ。
もうひとつはその他である」
さて、ここで紹介するモデルはパテックの代表的なモデル。
1932年に生まれた96の継承モデル、カラトラバ3796(右)ホワイトゴールドと5196(左)ローズゴールド。当時の芸術運動バウハウスの影響(非個人的で幾何学的で厳格な事であり、無駄を省き素材を研究し洗練された形)を受けた無駄のないデザインは今日にも受け継がれている。
そのデザインは
1.丸型であること。
2.ケースと一体になった流れるような曲線を絵描いたフォルムを持つこと。
3.ベゼルがフラットなもの。
まさに腕時計の基本である。
3796は30mmとサイズも小さめ。このモデルは2000年頃に製造中止となった。
替わって2004年に登場したのが5196、サイズも37mmと大きめである。老眼の進む僕にはとても嬉しいサイズの登場であった。
しかしいつ見ても溜め息が出るくらい飽きのこないデザインである。