Rocker and Hooker

ポール・マッカートニーが11年ぶりに来日する。コンサートチケットは東京、大阪、福岡共にSOLD OUT。ゆえに大阪公演(京セラ・ドーム)の追加公演が先日発表された。また10月29日現在、武道館公演の追加もあるのでは?と言う噂もあり、ファンにとっては嬉しいやらお金がまた出て行ってしまうやら、来日直前まで何とも気をもむ日が続きそうだ。さて今月はポールの来日公演と言う事もあり以前のブログをプレイバック。これは夏のある日,僕の身の上に起こったちょっと不思議な話しである。それはとても美しい夏の日の午後の事だった。

2007年6月、ロンドンを訪れた時、何年振りかでアビー・ロード・スタジオに顔を出した。昔(1993年と95年)、知り合いのミュージシャンがこのスタジオでレコーディングしていた際、10日ばかり隣接するアビイ・ロード・スタジオのフラットに僕も滞在していた。そんな経緯もあり懐かしくアビイ・ロード・スタジオを観に行ってみた。生憎、この日はマネージャーのケン・スコットで不在で知己のあるスタッフは昔と入れ替わり玄関先に名刺だけ置いて失礼して来た。そんなアビー・ロード・スタジオからの帰り、すぐ近所にあるポール・マッカートニーの邸宅にも久しぶりに寄ってみた。

セント・ジョンズ・ウッド、キャベンディッシュ・アベニュー7番地(7Cavendish)にあるこの邸宅はアビー・ロード・スタジオ同様、ビートルズ・ファンにとっては聖地である。ポールはこの邸宅に66年から70年代初期まで住んでいた。他の3人のメンバーがロンドン郊外に住んでいたため唯一ロンドン市内、しかもアビー・ロード・スタジオのすぐ近くに居を構えるポールの邸宅にはビートルズのメンバーがセッションの打ち合わせでたびたび集っていたようだ。あたりは同じような豪華な邸宅が建ち並び、どの家もセキュリティーがしっかりしている。とくにポールの家は外観からもその堅牢さが窺える。ここ何年かは時々、ロンドンにやって来るポール本人、あるいは彼の子供達、特にステラ・マッカートニーがこの邸宅を使用していたらしい。だが普段は無人であるが故、この門が開かれる事は滅多に無い。僕は1989年にも仕事ですぐセント・ジョンズ・ウッドにあるフラットを1ヶ月程借りて滞在していた事がある。その時も毎朝通勤の折、セント・ジョンズ・ウッド駅までの道すがらこの邸宅を横目に通過していた。だが、この家の門が開かれる事は一度も無かった。

高い塀とうっそうとした樹木、ポールの邸宅はビートルズがレコーディングしていた遠い日を夢見るかのように今も静寂の中、ひっそりと佇んでいる。そんなビートルズ在りし日々とかつて自分がこの近くに滞在していた時間を重ね合わせて、ぼんやり感傷に耽っていた。で、取りあえず久しぶりに此処へ来た訳だし、ましてその門が新しいものに取り替えられている事もあって、ちょっと記念撮影でもしようって感じでデジカメのシャッターを押した。そしたら突然、ゴトゴトって感じで扉が開きはじめた!!一瞬、ガードマンか誰かが出て来るのかと思った。ま、まさか、ポ−ルが!!なんてありえもしない事まで脳裏をかすめた!!門はゆっくり開いた。僕は初めてポールの家の玄関口と中庭を見ることができた。門が開いていた時間はものの数分である。何故、突然無人の門が開いたのかは解らない。きっと誤作動か何かだと思う。だが僕は夏の風の中、ざわめく木立のどこかにジョンとジョージの精霊がいて、僕にいたずらしたんじゃないだろうか?なんて考えてしまった。そんな雰囲気にさせる場所である。。

さて、それはともかく今年71歳を迎えたポール・マッカートニーのジャパン・ツアー!行かれる方は思いっきり楽しみましょう!!


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