Rocker and Hooker

洗濯が好きである。10代の頃はブルー・ジーンズをはいたまま浴槽に入りタワシで擦っていたものだ。
マドラス・チェックのシャツも買って来たらすぐ洗いをかけていた。時にハイターなんぞを使ってブリーチしすぎて台無しにしてしまったアイテム(LEVIS等)もかなりある。
サンフランシスコにしばらく滞在していた時はコンバースのキャンバス・トップまでコイン・ランドリーで洗っていた。
最近、ジョギングの効果もあり何度目かの減量に成功。10キロ近く体重を落とした。リバウンドに気を使い食べ物も抑えている。そして酒も制限している。
そのため緩くなってしまったアイテムがかなりある。
で、今回思い切って何年か前にミラノ・コレクションで手に入れたRAFFAELE CARUSO(リネン100%)とPAL ZILERI(コットン100%)のジャケットを洗ってみた。
どうにも丈の長さと身幅が以前から気に入らない。まぁ、そもそも3つボタン(上のボタン2つ掛け)だしシルエット的には寸胴で仕方ないんだけど。。
洗濯をしてジャストで決まる事もあるが大事なのはこの後のタンブラーでの処理である。5分タンブラーをかけては取り出し試着、袖が縮み過ぎてないか、ボタンが破損してないか、そして微妙な丈と幅の縮み具合をチェックしながらまた5分・・・・。生乾きのものを何度も試着する。最終的にはアイロンがけをするから少しくらい小さめに縮めた方がいい。しかし素材によっては既にシュリンク止めが施されどうにも手強い相手がいる。
そんな時は街のコインランドリーに行こう。こちらのタンブラーの方がパワーはあるので縮む成功率が高い。
だが、しかしむしろジャスト・フィットするものって何着かにひとつの確率である。要は根気である。今回試したミラノコレクションの2着は幾分サイズダウンはしたものの丈がやはり気に入らない。なかなか洗濯術で成功するのって難しいのだ。。。
しかし、「やったー!ってくらいで成功するものも中にはある。何年か前にロンドンのセルフリッジで購入したmiu miuのレザー・ジャケット。もともとちょっとだけ丈の長さが気になっていたし、袖も少し僕には長めだった。
で、洗う決心をしたのだ。過去に何回かレザーを洗った事がある。ダメにしてしまったものもあればひび割れをしてくたびれた感じで良い仕上がりになったものもある。
さて、このmiu miu、洗濯機から出て来たジャケットはもちろんの事、縮んでいた。濡れたままのジャケットを羽織ってみたら何となくまだ丈は長い。
だから、タンブラーをかけることにした。もちろんかけ過ぎは禁物である。いつものように、いや、いつにもまして細心の注意を払い、分単位で確認しながらの乾燥作業を施した。結局延べ30分程度乾燥機を使用。あとは陰干し。この陰干しの間にもレザーはゆっくりと縮む。裏地がコットンだったからこれも一緒に縮んでいく。化繊とかは縮まない事があるので裏地だけたわんでしまう事がある。そうなると引きつってシルエットが台無しになる。結果は乾き切るのを待つのみ。吉と出るか凶と出るか、まあ賭けみたいなものだ。ところが思いのほかピッタリと縮んでくれた。そして思わぬ事に、洗濯のダメージと乾燥の熱でこのジャケット、スエード素材になってしまった!!なかなか風合いが出て以前よりもこのジャケットが気に入ってしまった。
これは数少ない成功例のひとつである。さて、ここで言いたいのは、もう着なくなってしまった過去のものを蘇らせる方法のひとつに洗濯と言う選択業もあると言うことだ。
リメイクばかりが蘇り術では無い。ただ、ちょっと無謀であるが。。
素材、シルエットが台無しになる事も踏まえ挑戦してみて欲しい。オリジナルな一着が仕上がるかも。


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