Rocker and Hooker

シュガープラム・フェアリー(Sugarplum Fairy)というバンドを皆さんは知ってますか?スウェーデンのバンド。
「Sugarplum Fairy」と言うバンド名の由来はジョン・レノンがBEATLESの名曲「A Day In The Life」レコーディング中に呟いた言葉がもとになっているようだ。アルバム「ビートルズ・アンソロジー2」の「A Day In The Life (take one)」でカウント代わりにジョンが 「Sugarplum Fairy ,Sugarplum Fairy」と呟いている。Sugarplum Fairyとは「コンペイ糖の精」と言う意味で、もともとはバレエの「くるみ割り人形」に登場する妖精の事。でも、なんとなくドラッグのスラングのような意味があるのかも。A Day In The Lifeがレコーディングされた1967年当時のジョン・レノンはドラッグ漬けの日々を送っていたわけだし。さて、このバンド「シュガープラム・フェアリー」、彼らは日本でもちょっと知名度がある「マンドゥ・ディアオ(Mando Diao)」の弟バンドである。マンドゥ・ディアオのボーカル・グスタフ・ノリアンの弟カール・ノリアンとヴィクター・ノリアンが結成したのがシュガープラム・フェアリー。そのサウンドを聴けばいかに彼らがビートルズに傾倒しているかがわかる。彼らは自ら「ビ ートルズとローリング・ストーンズから影響を受けた」と語っている。そしてボーカルのヴィクターはドイツ映画「Das Wilde Lebn(英題:8 Miles High)」でミック・ジャガー役でも出演している。で、じつは僕の友人がケルンでシュガープラム・フェアリーのLIVEを観たときROCKER AND HOOKERの"ブライアン・ジョーンズ T-シャツ"をボーカルのヴィクターに手渡してくれた。彼がそのT−シャツを愛用している写真を見つけた!!これにはちょっと感動!!凄く嬉しい!!

で、ここまでは2009年の記事である。今月はこのシュガープラム・フェアリーの悲しい報告をしなければならない。
2013年 9月17日、メンバーのひとり、クリスチャン・ギドランド(ドラマー)が亡くなった。(享年29歳)クリスチャンは1983年9月21日生まれである。つまり30歳をあと4日に控え天国に召されたのだ。ここ数年、彼は闘病生活を送っていた。胃がんに冒され一時は復帰したもののその悪魔の細胞は彼の肉体を蝕んでいた。彼のブログには2年にも及ぶ闘病生活、そして最後の日々が綴られている。カウントダウンを聴くように命をすり減らして行く日々、彼の無念は読む人の胸をえぐる。若い人の死は残酷で辛く、そして悲しい。世の中の不条理を思わずにはいられない。
僕はバンドが好きである。その理想はメンバーが唯一無二であること。例えばビートルズ。ジョン、ポール、ジョージ & リンゴ、誰一人欠けても成立しない。
シュガープラム・フェアリーとビートルズを比較するのは間違っているかもしれない。しかし少年達がある日集まり,出会いと別れを繰り返し、やがてメンバー達が淘汰され、サウンドの完成形に到達する。その時メンバー達は思う「オレたちは世界一のバンドだ」と。ジョン・レノンはリンゴが加入した後、まだ無名であったにもかかわらず「ビートルズは世界一のバンドだ」と思ったそうだ。シュガープラム・フェアリーのメンバーもきっとその日そう思ったはずだ。クリスチャン、カール、ヴィクター、ヨナス & ディビッド。この5人が不動のメンバーである。だから、今回、クリスチャンの不在を思い、彼らはシュガープラム・フェアリーを事実上の解散と言う事にしたのだろう。このメンバー以外シュガープラム・フェアリーは有り得ないと。ひとつ欠けたピースが埋められない事を彼らはわかっていたのだ。それはとてもとても悲しいバンドの結末である。ロッカー&フッカーのTシャツを着てくれたと言う小さな繋がり。そんな知られざる「縁」に感謝を述べておきたい。少しでも多くの人にシュガープラム・フェアリーと言うバンドがいた事を覚えておいて欲しい。合掌。


クリスチャン・ギドランド(Kristian Gidlund 1983-2013)


←webマガジン10月号トップ
→前ページ 着る事がメッセージ 〜なぜに私達はROCK Tシャツを愛して止まないのか〜

Copyright © 2009 ROCKER AND HOOKER. All rights reserved.