Rocker and Hooker

これも「コスプレ」の一種だと思う、ロック的因子の数々への憧れ。それを身に纏うこと。憧れのロック・スターみたいになりたい!って願望。これって今も永遠のマジックですよね?

もう昔からストール、マフラー、スカーフ、アスコット・タイにリボン・タイ。とにかく首に巻くモノが大好きでした。
最初に購入したチャンとしたストールは30年前のPASHU(細川伸氏がデザイナー)のモノだと思う。デザイナー・ブランド・ブームが大盛り上がりの1980年代初頭、マルイかパルコで買った記憶が。すごくシックで綺麗で美しい逸品。なんとこれ、50歳になった今も使用してます!20歳の自分のセンスを自画自賛(笑)。よくこんな渋いデザインのモノを選んだもんだ。ここが人生の「巻きモノ道」のスタート地点だったと思います。
その後もウィンドウ・ショッピングでちょっと気に入った柄や素材のモノを見つけると即時購入!ってのが続きましたね。あげちゃったり,失くしちゃったり(特に着脱の頻繁なマフラーはよく。。。。)ってのはありますが、今でもシーズンを超えてのコレクションはもう膨大な数。でも不思議によく身につけるお気に入りのヤツって限られているんですよね。この感覚、ネクタイ選びと似てます。こう書けば男性の方はピンと来るのでは?現在、最も気に入ってるのは一年中使えるアクアスキュータムの生成りのコットンのストール。洗濯機で洗えちゃうんで便利。で、ザックリ洗うとさらにアジがでる。手放せません。一度、ギターの工場を訪れた時に松本の餃子屋さん(凄い設定だ)に忘れて来ちゃって。申し訳なかったのだけれど、ギター工房職人の方に取りに行ってもらって郵送をお願いして。無事に戻って来た時は嬉しかったな。職人Y君、その節はお世話になりました。。。。
そう、何よりもストールが好きですね。その次はスカーフかな。襟元にチョイ足しするだけで、あんなにガラリとファッションの印象を替えるアイテムって珍しいと思う。そういう意味ではファッション小物において最強のモノだと思うな。


たぶん人生で最初に反応した「巻きモノ」は『サイボーグ009』だったと思う。石ノ森(当時は石森)章太郎先生の。幼少時、TVでアニメがOAされていて。調べてみたら1966年〜68年のこと。原作漫画が『週間少年キング』に連載スタートしたのが1964年。改めて石ノ森先生の先見の明に驚愕。今も古びない傑作だ。で、そのアニメの主題歌、「赤いマフラーなびかせて、進めサイボーグ、我らの勇士」♪そう、モノクロアニメだったから「赤い」かどうか解らなかったんだけれど、もうこれが鮮烈で忘れられなかった。


小学校にあがる前、幼稚園に通ってる時だ(笑)。もうこのマフラー(っていうか、もうなびきまくりなのです、絵をみればお解りの通り)、本当にカッコよくって。カラー版の絵よりもやっぱりモノクロ版の方を観て欲しいなぁ。包帯とかを首に巻いて遊んだのを覚えてます。首が絞まって危ないだろッ!って親に怒られながらも。ロックに出逢う前の、自分のファッション・アイコンが009だったのかもね(笑)。


その次に惹かれたイメージ、これが意外に西部劇だったりする。小学校時代だ。一転して今度はリボンタイに憧れることになる。りっぱに巻きモノでしょ、これも? 小学校の時は親父の影響で西部劇に夢中だった。その結果、いわゆる日常に溢れていた歌謡曲以外の音楽を〈掘り〉に行った最初の経験は西部劇のサントラだったんじゃないかな?正統派のアメリカ作品からマカロニ・ウエスタン(イタリア制作の西部劇ね。わかりやすく「マカロニ」だ。クリント・イーストウッド:Clint Eastwoodはここでスターダムにのしあがったのだ)まで。最近、久々に西部劇がクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)によりちゃんと制作されて。でも彼らしくマカロニの方のオマージュに満ちたリメイクだけど。うん、今でもドキドキだね。ガンベルトを腰にするってそれだけで良いもんだ。モデル・ガンにも小学校の時、はまったよ。早く大人になって、ちゃんと早撃ち出来るようになりたいって(苦笑)。
話が逸れちゃった。そう、リボン・タイね。西部劇のヒーロー達のそれが最高にカッコ良くって。『レッド・サン(Red Sun)』(男性3人と最古にセクシーな女性一人。あの名作劇画『ルパン3世』は明確にこの作品へのオマージュと思ってる)のチョイ悪なアラン・ドロン(Alain Delon)、『荒野の七人(The Magnificent Seven)』の過去にワケ有りのクールなガン・マン=ロバート・ヴォーン(Robert Vaughn)、先のイーストウッドとマカロニ銀幕で雌雄を決したリー・ヴァン・クリーフ(Lee Van Cleef)、そして西部史上の実話で何作にもわたって映画化されたストーリー、ワイアット・アープ(Wyatt Earp)とクラントン一家との確執と死闘を描いた『OK牧場の決闘(Gunfight at the O.K. Corral)』におけるバート・ランカスター(Burt Lancaster)とカーク・ダグラス(Kirk Douglas)、枚挙に暇がないな。とにかく襟元にキリっと締めた優雅でエレガントなリボン・タイと「命売ります」的な無頼の男達とのマッチングにもう最高に憧れた。残念ながら、リボン・タイって日本じゃあ学校の制服レヴェルで語られることが多いようで、ファッション・アイコンとして発売されていることが少ない。子供の頃はそれこそ紐を結んでマネをして満足していたけれど、大人社会じゃあそうは行かない。結局、革のリボンを使ったり、あとは細いシルクのネクタイを蝶結びにしてそれ風にしたり。何とか応用して子供心に培った憧れに近づく努力をしてました。何と言っても自分の結婚式でもお相手(今の妻ね。デザイナーだった)に頼んで綺麗なパープルのリボン・タイを作ってもらってそれを締めて行ったくらいだ。今もたまにトライしますね、シルクのネクタイのリボン結び。武骨な中にもエレガントってのがテーマかな。


さてさて、その次、中学校に上がった時にグッときたのがストール!ここで最初の話に繋がって来ますね。ストール、スカーフ、とにかく首に巻く長い布モノ!イメージの元?これはもうエアロスミス(Aerosmith)のジョー・ペリー(Joe Perry)ですよ!もちろんスティーヴン・タイラー(Steven Tyler)もチョイ有りですが、ルックスとして惹かれていたのは圧倒的にペリーだったな。
所謂グラム・ロックから流れて来た退廃的でユニ・セックスなファッション・アイコンとしてのストールは郊外の中学校に上がったばかりの自分にとってはあまりにも刺激的で遠い遠い憧れのイメージ。「大人」へっていう憧れから「世界」へ、ギラギラの「スター」への憧れ。すなわちロック的なモノへの最初の憧れ。グリッター(Glitter)って概念をググったりウィキったりしても正解は出て来ない。単に「輝き」なんてことじゃなくって、この意味にグラム・ロックのサウンドと70年代のノスタルジーが乗っかると、これがまさにストライクのイメージを訴求してくれる。エアロスミス、とりわけジョー・ペリーのそれはその象徴的なモノだったな。 ストール/巻きモノの素材感にワクワク/ドキドキしたのもこの頃。シルクっていう素材に於ける最高の価値観よりも、化繊にあるギラギラしたラメ感の方がロックっぽいな、とか。「長さ」は長いほど巻いたときの美しいヴォリューム感に反映されるんだな、とか。ジョー・ペリーの教えてくれた価値観は今でも自分の「巻きモノ」道の基準だな。 余談だけれども、思うにこの当時のロック・アイコン達、こぞってフェミニンなものへの傾倒が強かった気がする。レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)のロバート・プラント(Robert Plant)から始まって、女性モノのファッションを身に纏うって感じ?レースやオーガンジーもそうだけれども、ピチピチのセクシー、そして羽織モノ、巻きモノのセクシー。そんなのが原点にあった気がしますね。ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)のミック・ジャガー(Mick Jagger)もそうでしょ??


番外編で、現在の自分のストール使いに直結しているイメージの方々/カルチャーって何だろうなって。
キー・ワードで間違いなくあるのは「裏社会」の正装(苦笑)。それを正しく体現していたアイコンが先にも言及したアラン・ドロン。そして最近では最高のキング・オブ・「巻きモノ」はジョニー・デップ(Johnny Depp)ですな。そうしたモノの勘違いされた解釈が近年でも日本の政界であって、思わぬコメディーにもなったり。うん、そもそもこのカルチャーはクスッ(軽微笑)と憧憬(うっとり)との紙一重であり続けているのだな。だからステキなファッション・センス・グレードのリトマス紙であり続けるアイテム、ストールなのかな。


ストール、そもそも、そこから始まるイメージって、みんな首にスルッて巻くだけなんだ。ここまで書いてきた証例が、いろんな形で現在に至るまで自分にどんな影響を与えてくれて来たのかは自覚してるけど、そもそも今の自分の「巻き方」アレンジ、そのヒントってどこからきたんだろう?クルクルって巻いて縛ってっていうヴォリュームとアクセント。自己流だとは思うが、何を真似したんだろうか??肝心のココが想い出せない。せっかく今回、このコラムでいろんなことを想い出してリコレクトしたのになぁ。。。。タチの悪い友人は中尾某のことを引き合いに出すけれど、自分の巻き方アレンジは彼がTVでその「濃い」ストール・イメージを徹底させる前からのものだったので(苦笑)。一番共感を覚えるのはジョニデのそれだね。カッコ良い。それってオリジナルはキース・リチャーズ(Keith Richards)??結局、ストーンズのそれ??ジョー・ペリーの感覚とは従妹みたいなモノだな。。。。


襟元に「花束」って言うの、ちょっと照れくさいけれど、自分のストールの遊び、チョイ足しのファッション・コンセプトはそれですね。過剰に足して、足して、足して、そこから「何」を引き算するとカッコ良いんだろう??って検証は、オシャレ道の上級者を目指す為の日々のトレーニングに欠かせない。だからこそ!の巻きモノへのトライ。 そう!若者よ、巻きモノを手にしよう!!

ROCKER AND HOOKERでは初心者から上級者まで様々な遊びと冒険のトライアルを実現させる為の「巻きモノ」提案をこの夏もさせていただきます。 「TURN ON」っていう概念をビートルズ(The Beatles)がロック・シーンを超越して60年代後半の文化シーン全般に提言してから45年近く。 うん、ファッションにおいて「巻きモノ」は完全にその提言に準ずるアイテム、典型的なアイテムだな。

さてさて、明日も巻いて出かけて行くよ。多少暑くたってさ(苦笑)。




Copyright © 2009 ROCKER AND HOOKER. All rights reserved.